飛行航跡Centre of Gravity Track (CGT)
飛行航跡Centre of Gravity Track (CGT)
(CGTについては実機のジャッジングページを参照)
「ラジコンのパターンフライトでは飛行航跡が重視される」
とは言っても、中々空中に描かれた図形など認識できるものではありません。
そこで、動画から飛行航跡を割り出す方法を考えてみました。
3次元の物を2次元で表そうとするので色々と不都合もありますが、それでも出来上がった航跡図は面白いものとなっていました。
黒のラインが直線と楕円で描いた目安で、黄色い方が航跡です。
細かい事を言えば、楕円の扁平率は飛行コースとカメラ位置で決まるし、頂点の方は遠くなるので楕円も変形して見えるはずですが、良く分からない事も多いので今回は無視。
それで、この演技についてですが、
終わりの半径が大きくなって抜けの高度が下がり、直後の直線で上昇している様にも見えます。
まぁ、機体の遠近もあるので、この図だけで正確な判定は出来ませんが、ループ自体は意外に整っていた様です。
続いて、オン・コーナーからキューバン8とハーフ・ループです。
カメラが演技位置に近い為、外周部の歪みが大きく、特に左側ではそのしわ寄せが大きくなってしまいました。
前のループの時「抜けが上昇している様にも見える」と書きましたが、画面の歪みのせいだったのかもしれません。
ここの演技で気付く事は、
・リバースキューバン8の入りが遅れ45°が深かった
・2個目のループの抜けはもう少し高めの方が良い
・その高めの高度を維持すれば、右側のハーフループの大きさに余裕が出る
などです。
次は、エイトポイントからラストのスピンまでです。
右側のフィギュア9は、画面が分断しているせいで縦長になっています。
パッと見ただけでは良く分からないかもしれませんが、ラインの上下の違いは高低差でも奥行きの差でも出てきます。
そんな事を考えながらじっくり見ていると、まるで立体視の様に演技が浮き出て見える事があります。
例えば左側の縦8では、スタートがちょっと遠めだったのを、背風に流されない様に下のループで調整したのかもしれません。
貼り合わせた画像の歪みが気になったので、同じ位置から風景だけを撮り直して、空域を作り直してみました。
フィギュアMからスプリットS、ロール、上昇スナップ、そして緑丸が45°降下です。
それにしても、フィギュアMは形を作るのが難しいですね。
このフライトのときはローリングループの面が出ていませんでした。
また、次のスプリットSをフレームに入れるため、抜けを遠くにもっていったので、航跡が低くなっています。
緑丸の45°降下も同じところで終わっています。
フィギュアMのスタートからローリングループの高度。そしてそれに続く一連の演技。
これをいかにまとめるか、課題が見えて来た感じです。
別のフライトでもチェックしてみます。
まずはP11の前半↓
続いてP11の後半↓(比較の為に前半のループを挿入)
画面の歪みがあるのでこの図が全てを表している訳ではありませんが、自分のフライトを知るのには大変役立ちます。
例えば、ループ、ダブルインメルマン、キューバン8ならこんな感じです。
一つの演技に含まれるRの大きさは同じでなければいけませんが、全ての演技で同じにする必要はありません。…と言うか、
演技毎にRを変えなければフレームオーバーになってパターンフライトどころではなくなってしまいます。
演技は上方60度、左右60度ずつという限られた面で行われるので、図にしてみるとこんな感じになります。
この図は試しに描いた物で、上限60度の使い方とか、演技の大きさ、上端の揃え方などで色々なパターンが考えられます。
適切なRを使い分け、演技をいかに組み立てて行くかがパイロットの腕の見せ所です。
まず最初のフィギュアM〜ハーフ・リバース・キューバン8ですが、分かっているとは言え相当コンパクトにやらないとフレームに収まりません。
フィギュアMのローリング・ループはナイフエッジを含んでこのRですから、実現はかなり難しく、直後のハーフ・リバース・キューバン8もスペースを考えるとこんな大きさにするしかありません。
実際にはフレームオーバー覚悟でやるか、コースを遠くか斜めにするなど、何らかの対策が必要でしょう。
・ハーフ・スクエア〜45°降下〜ハンプティ・バンプについて
この図ではハーフ・スクエアの抜けを上限の60度までもっていってみました。
これで 45°降下のラインは長くとれる様になったのですが、次のハンプティ・バンプのスペースが減少してしまいました。
演技間の直線も短くなって、せっかく余裕を出そうと思った事がかえって窮屈さを招いてしまいます。
バランスを考えるとループ・オン・コーナー〜リバース・キューバン8と同じ高度にするのが無難かもしれません。
・ ハーフ・スクエア・ループ・オン・コーナー〜リバース・キューバン8について
大きさは図を見れば解ると思いますが、演技間の直線を見せるとすると自動的にこの大きさになってしまいます。
もしオン・コーナーの抜けの高度が60度になっているとしたら、それはオン・コーナーの変形かフレームアウト、もしくはキューバン8が不正確です。
それと大事なのはRの大きさで、オン・コーナーの抜けとキューバン8の入りでは全く異なります。それぞれ1/8ループを描くだけですが要注意です。
・ハーフループと(ちょっと順番を進めて)ダブルインメルマンについて
これも、この図の通りに飛ばすしか無いでしょう。
ダブルインメルマンは「正方形の両端に半円がくっついた形」 で、円の接点でロール開始となります。
接点部分で直線飛行が見えると減点です。
半円の正確さ、直線とRのけじめ、左右のバランス等、誰が見ても判定し易い図形です。パターン演技らしい演技なので、ただ単に機体だけを見るのではなく、空域全体を意識しながら飛ばせる様にしたいものです。
・フィギュア9~フィギュア8〜スピンについて
この図は最後のスピンに合わせてフィギュア9の高度を高く取ってみました。
図を描いてみると良く解るのですが、フィギュア9からスピンまでは一つの演技として考えた方が良く、
開始位置がフレームに近いと小さいRしか描けなくなってしまいます。
また実際にはスピン開始高度が機体によって決まっているので、そこから逆算すると、「フィギュア9の開始位置とR」が自動的に決まってしまうものです。
つまりこの開始ポイントこそがパターン後半の鍵を握っている訳で、普段あまり気にしていないかもしれませんが、十分な気遣いが必要です。
以上、簡単に航跡について説明してみましたが、上にある様な図を意識するとパターンフライトを見る目も変わって来るので、自分の練習や人のパターンを見る時に役立てていただければと思います。
2010.6.19
パターンフライトの役に立つかもしれないと思って、航跡図にクロス飛行場の写真を貼り付けてみました。
写真はパイロットの位置から撮ったものです。
でも、この画像、イメージ画像としては面白いのですが、問題がありました。
無限遠点から見た図とパイロット位置の画像では、本来あり得ない組み合わせだったのです。
パイロットから見た航跡を描くとどうなるのか?
世界地図を描くのに色んな図法がある様に、 立体を平面で表そうとすと、どんな描き方をしても一長一短が出てしまいます。
また、もしかしたらフライトシミュレータには航跡が見えるものがあるかもしれません。
残念ながらそういった器材は持ち合わせていないので、とりあえずどんな感じの見え方になるのか考えてみました。
2010.6.21
まず、演技面を等間隔に分割してそれを地上から見たとします。
水色は基準ループです。
罫線間隔は同じでも、地上からは、中央が広く外側で狭まって見えます。
外側と上側が狭くなるので、図にするとこんな感じになるはずです。
そこに基準ループを描いてみると黄線の様になります。
ちゃんとループを下から見上げた感じになっています。
と、ここまでは簡単なのですが、この先が悩む所です。
遠くの物ほど小さく見えるので、消失点を考えた図にしなければなりません。
2010.6.22
水平方向と垂直方向の消失点はこんな感じにしてみました。
演技面です。
かなり立体感が出てきました。
ただ、ここで難しいのが、水平方向の視線が変わったときの表現の仕方です。
センターだけを写した固定映像とは違い、視点が変わればその瞬間、その視界中央の罫線が垂直となってしまいます。
この辺の事をネットで色々探していたら、こんな面白い所を見つけました。
中程にあるQVR画像(QuickTime Virtual RealityなのでQTVRと略される事が多い?)には窓枠が映っていて、まるで私が描こうとしていた演技面の様です。
ドラッグして動かしてみると、画面中央になった枠が垂直になる様子が良く分かります。
またそのQVR画像の上にあるアーチ状のパノラマ画像も大変参考になります。
2010.6.24 (7.1追記)
パノラマ写真やQTVR/CubicVRの情報は随分前からあったんですね。
Enjoy!Fisheyeには、魚眼画像を普通写真に展開する方法が載っていました。
また、そこの作品集にある「新宿 高島屋の画像」には格子状の窓枠があって、これも私が描こうとしていた演技面の参考になるものでした。
QTVR/CubicVR画像は、現実の直線をそのまま画像でも直線として表現しています。
そのため、判り易さという点では良いのですが、気になる点も出てしまいます。
「新宿 高島屋の画像」を例にすると、壁面を真正面から見た時に、どの横線も平行で消失点が無くなっています。
視線を左右に振れば消失点は出て来るのですが、この辺に少し違和感を覚えるのです。
図にしてみるとこんな感じでしょうか。
この図は、「視線の動き」で考えてみると、「中央だけを向きながら目を上げていった画面」とも言えます。
直線だけで構成されているので演技解説に使うには便利そうですが、両サイドの歪みが大きく、あくまでもイメージ画像の一つとして捉えておいた方が良さそうです。
一方、視線を左右に振った時はどうなるでしょう。
人間が物を見た時はその時の視界の中央が垂直になるので、パノラマ写真風の方が臨場感が出てきます。
上空に行くほど横長になってしまいますが、実際に飛ばしている時の「垂直から水平に移行するときの見え方」は上手く再現出来ています。
こうやって2種類の描き方を比べてみると、上の図は向こう側へ倒れた感じ、下の図は上空が広がった感じが強調され、それぞれ特徴があって面白いものです。
2010.7.2
パイロット位置から撮った写真は、何枚かの写真を横に並べて貼り合わせたパノラマ風のものなので、演技面もパノラマ画面を使ってみる事にしました。
演技の大きさも少し修正し、貼り合わせてみるとこんな画像となりました。
何か今ひとつ迫力に欠ける画像ですが、演技の大きさはまだ予想の段階です。
今後演技の大きさを修正をして、演技中の地上の目標点を洗い直そうと思っている所です。
2010.7.5
実際に飛行場で測量をして、パイロット位置から見える風景を撮り直してみました。
下の、滑走路に見える7つの白い点は、すべて等間隔に置いた目印です。
写真にしてみると間隔が変化している様子が良く分かります。
その印を基にパノラマ画面を描いてみました。
広い空域を小さな画面で表すので、どうしてもどこかに無理が出てしまうものです。
それにしても、左右上端は中央に比べ2倍の距離にあるので、これくらい低く見えているはずなんですが、
普段そんな事思った事も無いですよね。
「遠くの物は小さく見えて当然」という、脳の修正が入っているからもしれませんが、トリックアートに通じる様な部分もあって面白いものです。
2010.7.6
演技画面が一応出来たので、そこにパターンを描いてみます。
先ずは目標となるパターンですが、これは前にも書いた様に、「ハーフ・スクエア・ループ・オン・コーナーとリバース・キューバン8の間の直線」を考え、次の様な大きさにしました。
ただ、これは機体の性能やフライトスタイルによっても変わるものなので、この大きさだけが正解という訳ではありません。
この目標パターンをパノラマで描いてみると次の様になります。
上辺に近いほど横長になってしまいますが、かなり迫力のある画像となりました。
パノラマのラインは架空の物なので実際のラインをどれだけ再現しているか気になる所ですが、これを簡単に確認する方法があります。
それは、上の「目標パターン図」をパイロットの位置から見てみればいいんですね。
縮尺の関係で相当近い位置から見る事になるので、ディスプレイでは見難いのでPDFファイルにしてみました。
mokuhyou_l.pdf←目標パターン
panorama1.pdf←目標パターンとパノラマ図
興味があったら印刷して試してみてください。
パイロット位置が紙に近いので、ぼやけたラインしか見えませんが、さて、どんな見え方になっているでしょうか。
大きい方が見易いので拡大してみました。
mokuhyou3l.pdf←目標パターン拡大版、追加
2010.7.8
ラインの見え方は紙の置き方によっても変わってしまいます。
平らに置くよりは立てた方がより実感が湧くでしょう。
見やすさの点で言ったらもっと大きい方が良いのですが、そう考えて行くと結局は、大きな透明板にラインを描いてそれと実際のパターンを比べてみたら、という事にもなってきます。
まぁ、そこまでするのはまた別の話になってしまいますが、とにかく、紙に描いたパターンを見る時、目玉を動かすとQTVR/CubicVR画像の様に見える事は確認出来ます。
それと、当たり前な事ですが、「直線」はやはり「直線」にしか見えません。
パノラマ画像の様な曲線に見える訳ではありません。
これは、QTVR/CubicVRの一画面は「瞬間」を表しているのに対して、パノラマ画像はその「瞬間を繋ぎ合わせたイメージ画像」となっているからなのでしょう。
つまり、直線で展開した画像はその中央付近だけは使えても、端の方を見るのには、また別の画面が必要になるという事です。
パターン用の画面なら、左、真ん中、右、と最低3枚くらいはあった方が良いでしょう。
* * * * *
興味本位で始めたパターン図作りですが、やっているうちに色々と役に立ちそうな事が見えてきました。
その一つに「45度の見え方」があります。
水平・垂直なら自然の中に確認する物がありますが、45度にはそういった目安になる物がありません。
特に、フレーム近くで行う ハーフ・スクエア ・ループ・オン・コーナーは、45度を斜め後方から見上げるので、もう全くの山勘状態となってしまいます。
図の矢印部分の見え方が非常に難しいのですが、パノラマ画像ならこの角度が現実に近いと思うのです。
2010.7.14
ミュゼットで撮影したサイドビュー動画を見ると、「ハーフ・リバース・キューバン8」や「ハーフ・スクエア ・ループ・オン・コーナー」の最初の45度がいつも深くなっています。
自分で「これくらい」と思ったのが60度で、「浅め」と思ったのがちょうど良いのです。
ハーフ・スクエア ・ループ・オン・コーナーの1回目の45度はまぁそれでも何とかなるとして、もっと難しいのが2回目の45度です。
この、上の45度は自分で思った通りにやると浅くなってしまいます。
更に、途中にロールが入るとラインが崩れてしまうし。
本当にカタチにし難い演技です。
青線がその悪い例ですが、終了点がセンター寄りになっています。
その結果、次のリバース・キューバン8の開始が遅れてしまうのです。
前々から、「キューバン8の窮屈さから自分のフライトのどこかに間違いがある」とは感じていたのですが、こんな所に原因があったのです。
2010.10.1
図形としては接線に上下のRが接しているので、接点で明らかな運動の変化が見られるはずです。
図の青線はその接点が明瞭でない例です。
切り返し部分が横長になるのを嫌って、下の円が終わらないうちに上を描こうとしていますが、これでは上下の円弧が共に不完全なので、減点も2倍になってしまいかねません。
接線は遠くに行くに従って下がって見えるので、下の円の終わり際(接点の手前)では航跡が一瞬下がった感じにも見えるはずです。
ただ、追い風が強い場合はヘッドアップ姿勢も大きくなっているので、姿勢と航跡の見極めが必要となります。
切り返し部分では一瞬無重量状態になり、ジャイロ効果や機体のクセなどがモロに表れてしまいます。
そんな中で一瞬のタイミングを捉えて機体をコントロールしていかなければならないのですから、本当に大変な作業となります。
因に、私の場合はこの切り換えしの前にパワーを落としたりする事もあります。
2010.10.3
下の画像は飛行場の正面に現れた飛行機雲です。
この時の飛行機が本当に真っすぐ飛んでいたかは判りませんが、一応直線飛行していたとして話を進めてみます。
地球の丸みも、この程度の距離なら問題になるものでは無いでしょう。
飛行航路はクロス飛行場に対して斜めになっているので、それにならってパターン面をずらしてみると、センター位置と左の60°はこの様になります。
そして、この飛行機雲をいつも使っているパノラマ画面に移し替えてみると、次の桃色のラインになりました。
違和感無く、しっくり収まっていますね。
私がいつも飛ばしているのはもう少し高い位置かもしれませんが、水平直線飛行の見え方としては大体こんな感じになるのでしょう。
2010.10.6
掲示板に飛行機雲に関する事、書き込み。
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